さて、いよいよこの時が来てしまった。
出発を明日の朝に控えて、
不安と緊張で眠れぬ夜を過ごす。
アフリカの大地を独りで自転車で駆ける。
自分の力で生きていかなければならない。
数日前に急に襲われた38.9℃の熱、下痢、頭痛。
マラリアかと思ったけど、クスリを飲んで一応回復した。
精神的な不安から来たものかもしれない。
こんなことは生まれて初めてだ。
ナイロビについてから3週間。
自転車の知識が全くない中、WEB上の情報をひたすら漁りまくった。
チャリ屋さんにも、煙たがられるほど何度も通った。
本当に紆余曲折いろんなことがあった。
もともとは先輩チャリダー二人と一緒に
男三人でナイロビからチャリで南下する予定だった。
でも、それぞれ別の理由で二人とも日本へ一時帰国が決まった。
これは仕方のないことであった。
3人で行けたら、それはそれは素敵な旅になったと思う。
でも、恐らく独りで行く運命だったのだ。
メール上で先輩二人に色々とアドバイスを
もらいながら準備を進めた。
ただ、誰に聞いても答えがないもの。
それはギターをいかにして積むかだった。
チャリ屋でつけてくれたキャリアは小さすぎで
ギターを載せたところで、前後左右、自由に動いてたちまち落ちてしまう。
ギターの上に重量のあるバックパックを載せて、
固定しようとしてもダメだった。
幸運なことに、泊まっていた宿には
OverlandCarやバイカーがたくさんいて、修理設備も整っていた。
そのメカニックに相談して、
ギターを載せるためのキャリアをマウントしてもらうことにした。
載った。
なんとか安定的にギターを載せることに成功した。
あとは全ての荷物を積んでみる。
そこでまたも大きな壁が。。
ギターがあるせいか、重心がどうしても上になってしまう。
3秒ともたずに転倒。。
これを何度も繰り返す。。
倒れると自力で起こすことができない。
自分の体重より遥かに重いのだから。。
腰にもちょっと痛みが走る。
やばいな。。
腰は中国で痛めて以来、
ずっと筋トレでごまかして旅を続けてきた。
これは無理かもしれないと思った。
独りで行く恐怖に精神的に打ち勝ったのに
物理的な身体的な部分で負けてしまうのか。。
これほど悔しいことはない。
1時間くらい放心状態。
せっかく自転車買ったのに。。。。
9割方、諦めかけた、、、
涙が溢れそうだった。
と、そのとき
近くで僕を見ていた同じ宿のドイツ人が
「this is a gift for you!」
と言って、ひとつの強力なストラップをくれた。
いやいや、これでもダメだよ。
とにかく、この荷物じゃダメなんだ。
荷物が重すぎるんだ。
アフリカで揃えた装備は重くて大きいものばかり。
そして、何よりこのギター。
自転車旅は
もっと装備を最適化できる時
ギターを持ってない時にもう一度チャレンジしよう
そう、思った。
でも、、せっかくくれたんだから。。
ということで、このストラップを使って
もう一度、ゼロから積み直してみた。
すると、どうしたもんだろう。
乗れた。
もちろん、こんなんで100kmも走れるか!
っていうくらい、フラフラなんだけど
でも、乗れたんだ。
乗れないと走れないから。
うん、乗れた。
希望がつながった。
まだ諦めない。
色々な人に助けてもらいながら
ようやくスタートラインに立てた。
明日、トライアルに出発しよう。
本当にありがたい。
感謝の気持ちでいっぱいです。